夏はとくに紫外線の影響が気になりますが、そんなときに心強いのは「SPF50」や「PA+++」などが表示された化粧品です。最近ではファンデーションにも入っていることが多く、UVケア商品を目にする機会もずいぶん増えました。
この2つに日焼け止め効果があることは知られていますが、違いや数値の意味まではあまり知られていません。そんな「SPF」と「PA」についてお話していきます。
紫外線「A波」と「B波」
本題に入る前に、まず紫外線について触れておきたいと思います。紫外線は波長の長さで「A波」「B波」「C波」の3つに分けられ、地上に届くのは「A波」「B波」です。
A波は肌の弾力に欠かせないコラーゲンを傷つけて、シワやたるみなどの老化現象を促進させます。エネルギーは弱いものの照射量が多いため、時間をかけて肌の奥へ到達します。
B波の波長は肌表面に影響を及ぼすため、炎症・シミ・そばかすの原因になります。照射量は少ないですがエネルギーが強く、皮膚への刺激が強いのが特徴です。
紫外線B波をガードするSPF
「Sun Protector Factor」の略で、B波を防ぐ効果を数値化したものです。30や50といった数字があり、数値が大きいほど効果が高くなりますが、30と書かれているからといって30時間紫外線を防御するわけではありません。
B波を浴びて日焼けするまでの時間は約20分とされています。20分を1単位として計算するので、SPF30なら20分×30=600分、約10時間の日焼け止め効果があります。ただし使用環境や個人差があるため、あくまで目安として考えましょう。
紫外線A波をガードするPA
「Protection Grade of UVA」の略で、A波を防ぐ効果を示したものです。+の数が多くなるほど効果が高くなり、4段階で評価しています。
「PA+」で「効果がある」、最高ランクの「PA++++」では「極めて高い効果がある」となります。もともとは+++までの3段階で表示していましたが、近年になりA波の有害性が問題視されるようになったため、2013年に変更されました。
効果は肌への負担と比例する
数値が高いと紫外線の防止効果も高くなりますが、その分「紫外線吸収剤」も含まれています。紫外線吸収剤は人によっては刺激を感じることがあり、アレルギー発症のリスクも懸念されています。SPFが高いものにはほぼ使われており、日常的に使うと肌に負担がかかります。
「SPF50」や「+++」以上は、レジャーやスポーツなどで1日中屋外にいるときにオススメですが、通勤や通学レベルであれば「SPF15〜30」「PA+〜++」で充分です。
SPF30以下の数値のものには、より低刺激の「紫外線散乱剤」が入っています。紫外線を防ぐ効果は劣りますがノンケミカルなので、子ども用の日焼け止めにも使われているます。
重ね塗りでさらなる紫外線対策
SPFが入っている化粧下地とァンデーションを重ねた場合、2つを合計したSPF値になるのではなく、数値の高い方が優先されます。とは言え、一緒に使うことで化粧崩れしにくくなるので、結果的には紫外線を防ぐ効果は高くなります。SPFやPAが含まれていない下地を使用するときは、日焼け止めを併用して紫外線対策しましょう。
順番は日焼け止めを塗ってから、次に下地を重ねます。下地を先につけると、日焼け止めが肌に均一にのらないので注意してください。混ぜて塗るのも効き目が半減するのでやめましょう。
またパウダーファンデーションやルースパウダーには、紫外線散乱剤にも用いられる「酸化チタン」や「タルク」などが含まれています。メイクの仕上げにつければさらに効果的ですし、単品での使用も有効です。
冬こそ気をつけたい紫外線
紫外線の量が増える春や夏にUVケアをする人は多いですが、冬も紫外線は降り注いでいます。B波は波長が短いため、照射量は真夏のピーク時の1/4まで減少しますが、波長の長いA波の照射量は冬もたいして変わりません。
また乾燥によって肌のバリア機能が低下する時期でもあり、夏よりも気をつけるべきです。とくに秋冬はPAを意識したUVケアが将来の肌老化の明暗を分ける、と言っても過言ではありません。冬だからと油断するのは大変危険です。ファンデーションや下地を上手に使って、一年中ぬかりなく紫外線対策を行ないましょう。