手に多汗症を抱える人々は日々さまざまな取り組みを行っています。個人の限界、不快感、当惑。多汗症に苦しむ人々は、何をするにしても衝撃を伴うことを知っています。それは、決して消えない心配です。
ありがたいことに、私たちは手汗治療の改善を目のあたりにしています。しかし、ごく稀に、交感神経切除のための内視鏡手術(ETS手術;Endoscopic thoracic sympathectomy)によって回復困難な副作用が起こるという報告があります。そのうちの何人かは、命さえ失いました。
最終手段としてのETS手術
多汗症治療のためにあらゆる処置が考慮され、これらの処置には効果がないことがわかった後、外科的手術が提案される場合があります。多汗症治療には、異なるタイプの手術があります。その中で最も有名なのが内視鏡手術による交感神経の切除(ETS手術)です。
ETS手術はしばしば回復困難な副作用(体全体または広範囲の過度の発汗)をよく引き起こし、低血圧や不整脈、高熱不耐性といった体の衰弱をもたらします。そのため、ETSは最後の手段と考えられ、実際多くの医者は深刻な副作用を理由にETS手術を勧めません。
ETS手術の効果
ETS手術では、外科医は 脊柱から汗腺までの神経信号の伝送を中断し、汗腺が「オン」になるのを防ぎます。
手術の手順はまず、患者に全身麻酔が行われます。マイクロカメラが腋の下の胸に挿入されます。活発すぎる汗腺と関連した神経経路を切るか破壊できるように、肺は一時的に虚脱(空気を含まない収縮状態)されます。いつも手順で行われ、この手順以外で成功したという報告はありません。
患者の体の片側での処置が終わったら、体の反対側で同じ処置を行います。ETS手術は大抵、手のひらにおけるひどい多汗症治療のために行われますが、手のひらとわき(ごく稀に顔)のような複数の箇所の治療のためにも行われます。しかし、かなりのリスクがある重大な手術であることを知らなければなりません。
ETS手術にかかる費用
手掌多汗症をはじめ、多汗症治療のために手術を行う場合は健康保険が適用され、 自己負担金額は7~10万円ほど です。生命保険の手術給付金の対象にもなるので、もし各種保険に加入していたら確認するとよいでしょう。
ETS手術のリスク
イギリスの新聞社が27歳の女性、ルイーズ・フィールドのケースを掲載しました。ETS手術の間、彼女の肺は偶発的に穴をあけられ、酸素欠乏症に陥り脳に損傷を受けました。回復の可能性もなく、彼女の両親であるパトリシアとフィリップ・グリーンは、2日後にルイーズの生命維持装置を切るという悲しい決断を下しました。
ETS手術の最も大きな欠点は、目的であるからだの部位の発汗を減らすかなくすことができるが、別の部位で代償性発汗が起きる可能性があることです。
代償性発汗はETS手術の結果として、背中、胸、腹部、足、顔、臀部に生じる過度の発汗です。これは当初の発汗の問題と同等か、それ以上に極端な場合もあります。
テキサス州ダラスにある市立病院では、ETS手術を行った患者の80%以上が代償性発汗が起こりました。同様に、デンマークのアーザス大学病院における研究では、腋の発汗のためにETS手術を行った患者の90%が代償性発汗を発症したという報告がなされました。そして、その人の半分は日中何度も服を換えなければなりませんでした。
テキサス州オースティンの病院に勤めるダニエル・カラスコ医学博士はこう語ります。
重度の代償性発汗を経験する女性からの報告は、ETS手術の重大性を示してくれます。
医者は『それは代償性発汗だから、そのうちなくなる』と言いました。
私は汗をかき続け、最終的には神経を止めている箝搾子を除去するように頼みました。
医者は『神経は再生し、代償性発汗は止まるでしょう。そして、あなたの手と足は再び汗をかき続けるでしょう』と言いました。
こうして4年間過ぎました。その間、私は誰の近くにも寄りませんでした。仕事は2回変えなければなりませんでした。私は人前で話すことができないだけでなく、立ち上がることさえできません。
私の服は汗で水浸しになり、人々は私のお尻にシミがついていると指摘します。背中と胸、お腹では絶えず汗をかきました。元ボーイフレンドは私のことを『汗まみれの尻』と呼んで、ベッドがいつも湿っていることにぶつぶつ言っていました。
私は真っ黒な服を着て、下着やわきの下のパッドに数百ドルもかけました。しかし、どれもうまくいきません。
こうした状況に私はとても落ち込みました。私は明るい色のズボンやタンクトップ、シャツを着ることができません。ジーンズの端やお腹周りは濡れています。
私はデートはしません。
デートをするたびに『どうしたの?』『なんで服が湿っているの?』と聞かれてうんざりするからです。
この状況を、誰かに助けてほしいです。」
多汗症治療にどのような選択肢があるのかすべて調べて、ETS手術の技術を持ち、副作用を熟知している医師やヘルスケアの専門家と話してください。ETS手術の経験がある患者の話を聞いて、彼らの意見を聞くことも大事です。