オルニチン(Ornithine)は非必須アミノ酸で、体内で製造されます。同じくアミノ酸であるアルギニンと同様に、尿素が作られるときに代謝されます。そしてシトルリン、プロリンおよびグルタミン酸の前身として作用するので、身体にとっては必要不可欠です。
オルニチンは、尿素回路(オルニチンサイクル)において重要な役割を果たし、シトルリン、グルタミン酸、およびプロリンのアミノ酸の前身です。 別の主要な役割としてはアルギニン合成過程の中間体であることですが、これはオルニチンサイクル(尿素生産の原因)に起因するものです。 オルニチンはタンパク質および酵素に直接組み込まれておらず、遺伝暗号(遺伝子上での塩基の並び順)を持っていません。
ホルモンの増加、体重・筋力の増強について
動物実験に基づく研究においては、オルニチンがアルギニンと共にインスリンおよび成長ホルモンなどの成長促進性(同化性)ホルモンのレベルを増加させることにより、体内の筋肉構築活性を促進し得ることを示唆されています。しかし、人体実験における研究では、これらの主張を裏付けるだけのレベルのデータがありません。
経口摂取によるオルニチンで成長ホルモンが増加したことを証明した1件の研究では、非常に多量(1日平均13グラム)が使用され、多くの消化器官での副作用が報告されています。 それとは対照的な研究結果では、アルギニンとオルニチンの1日当たり1グラムを服用している運動選手が5週間の集中的な筋力トレーニングをさせた場合、運動を行っているがプラセボ(見た目だけの、効果のない薬)を服用していたグループと比較して、 体重と筋力に大きな増強が見られました。
治療による投薬効果
手術、感染、ガン、外傷、または火傷のために入院した人々の臨床試験では、オルニチンα‐ケトグルタル酸(OKG)の補給がいくつかの有益な効果をもたらすことが報告されています。 二重盲検試験は、急性疾患から回復する高齢者におけるOKG補充の効果が確認されています。1日あたり10グラムのOKGを2カ月間服用した人々は、プラセボを服用した患者と比較して、食欲、体重増加、および生活の質において著しい改善を示しました。 彼らはまた、回復期間が短く、医師や看護師の自宅訪問回数も少なくて済み、投薬量も少なくて済みました。
オルニチンアスパルテートは肝硬変に起因する脳の異常(肝性脳症)の人に有益であることが示されています。二重盲検試験では、肝硬変および肝性脳症の患者は、1日当たり18gのL-オルニチン-L-アスパラギン酸塩またはプラセボを2週間投与しました。 オルニチンを服用している人は、プラセボを服用している人に比べて、肝機能や血液検査で有意な改善を示しました。
重度の火傷を有する人々に関する研究では、1日あたり10~30グラムのオルニチンα-ケトグルタル酸塩を補給することが創傷治癒を有意に改善し、入院期間を短縮することを示しました。
オルニチンの体内生産と食事での摂取
オルニチンは体内で産生されるため、この非必須アミノ酸が欠乏はすることはほとんどありません。しかし 成長期や妊娠中、重度の外傷、栄養失調の後に枯渇することはあります 。
1日当たり10グラムを超える摂取による胃腸の苦痛を除いて、オルニチンの副作用は報告されていません。アルギニンは体内でオルニチンを生産するために必要であり、このアミノ酸のレベルが高いほど、オルニチンの生産量が増加するはずです。
オルニチンは主に肉、魚、乳製品、卵に多く含まれています。 西洋の食事(洋食)を1日3食食べていれば、一般的には1日5グラム程度摂取できます。そして体もオルニチンも産生します。 オルニチンが枯渇する事情(ストレスや疲労、アルコールの摂取など)がある場合 に限り、オルニチンサプリメントで摂取すれば問題ありません。