しこりニキビは医学用語で「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」と言います。この言葉自体は大事ではありません。しかし、「肥厚性瘢痕」が悪化すると「ケロイド」と呼ばれる状態になり、自然に治癒することはありません。ここが大事です。
しこりにきびが治らない原因
しこりにきびが「肥厚性瘢痕」の状態であれば、個人差はありますが時間とともに平らになっていきます。
そもそも「しこりにきび」とは、傷ついた皮膚組織を体内で治そうという治癒行為の過程で生じる症状です。傷口を塞ぐためのボンドのような役割を果たす「繊維組織」が過剰に生産され、それがしこりののように硬くなるのです。
もし、できたばかりのしこりニキビが治らないならば、いくつかの理由が考えられます。
- 治りかけのしこりニキビを触りすぎで傷が悪化
- 服や枕などの摩擦で傷が悪化
- 必要な栄養素や睡眠が足りない
1と2は結果的に同じですが、要はしこりニキビの中で傷口が完全に癒えない状況が続いてしまうことです。
先ほど、しこりニキビは自然に平らになるといいましたが、それはしこりニキビ内の傷口が「繊維組織」によって結合され、傷が治るとともにしこりとなっていた「繊維組織」も消えていくから平らになります。しかし触ったり、摩擦で傷ついてしまうと「繊維組織」がなくならず、しこりもなくならないというわけです。
3つめは必要な栄養素や睡眠が足らないからです。簡単に言えば、治癒能力が低下した結果、しこりニキビが長引いてしまうということです。ここで言う栄養素とは人体を構成するたんぱく質、ビタミンなどです。また極端な睡眠不足や夜更かしは細胞の再生活動が停滞する原因となります。
治らないしこりニキビの対処法
しこりニキビが治らない場合は以下の2パターンに応じて対処します。
- 赤みを帯びて周囲に広がっている。
- それほど赤みはなく、状態はほぼ変わらない。
1つ目のパターンは「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」が悪化して「ケロイド」になったことが考えられます。「ケロイド」の場合、自然治癒の見込みはないので早急に皮膚科で治療が必要です。皮膚科では内服薬のほか、ステロイドを用いた治療が行われるのが一般的です。
2つ目のパターンは様子を見つつ、細胞の治癒能力を高めることが勧められます。一般的にはターンオーバー(皮膚の再生)を正常化するための対策を施します。
- たんぱく質、ビタミンCを中心に栄養をしっかりと取る。
- 夜10時~深夜2時を含む、6~8時間ほどの睡眠をとる。
- 肌の乾燥を避け、保湿を行う。
言うまでもなく、しこりニキビをむやみに触らないことが前提です。またできるだけ服の摩擦がないように気をつけましょう。寝るときの枕は柔らかい素材の枕カバーなどを用いたりしましょう。
特にしこりニキビは顎や首周りにできやすいといわれています。その理由は、摩擦が多いことに加えて、保湿ケアを怠りやすいからです。大抵の人は顔全体に化粧水を使用していますが、フェイスラインまで丁寧に保湿を行う人が少ないからです。もしあなたがフェイスラインでしこりニキビに悩んでいるのならば、まずは保湿を意識すると良いでしょう。
もちろんジェルを塗るだけでなく、食生活と睡眠リズムを正して、トータルなスキンケアをすることが一番大事です。